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ユーザーによるレビュー
ヤスさんという父親
(2008-12-22)
だめだ、やっぱり泣いてしまう。そろそろだぞ、クサいぞと思っていても
文字を追えなくなっている。
去年あたりからより一層重松さんの小説は、涙なしでは読めない。
そして、わかっていてもまた読んでしまうのだ。
まっとうで、意固地で、照れ屋で、不器用な市井の人々の人生のある面を
鮮やかに切り取る手腕。
リアルだけれど、実に見事な重松ワールドで、畳みかけるような
重松さんお得意の短いセンテンスが続くと、「あ、今、入った」とわかるのに
読み継ぐうちに取り込まれている。
「とんび」役のヤスさんも典型的な重松さんの描く男だ。岡山弁も効果的だ。
一本気で、融通がきかなくて、でも優しい心根の持ち主。
泥臭い生き方ではあっても、親のいないヤスさんが必死で育てた「鷹」のアキラの
成長ぶりを応援しながら読んだ。
ヤスさんを取りまく人々の真っ直ぐな気持ちにも、昭和の時代らしい人間関係が
表されていていい。
みんな、脛に傷持つ身なのだ。相身互いなのだ。
アキラにヤスさんの思いも生き方もちゃんと伝わった。
それこそが、親の本望だろう。
こんな父親がいたら、時としてうっとうしいだろう。
だが、こんな父親がいたら、有り難いだろう。
人として・・・
(2008-12-11)
重松さん、いつもありがとうございます。
毎回の作品がとても楽しみです。
一言いわせてください。
この作品を読んで泣けない人は人として可愛そうです。
以上
やられました
(2008-12-06)
やられました。私にも息子がいるので、ヤスさんの気持ちはよくわかる。ヤスさんの心の熱さも良かったですが、この話はそれだけでなく周囲の人たちがとにかくいい。海雲・照雲親子、たえ子さん… 脇役がここまで(主役に匹敵するほどの)活躍をした作品は重松作品でも少ないのではないか?海雲の残した手紙、照雲の演技…何箇所も涙が溢れました。親子だけでなく、人と人のつながりの大切さがわかる本当に良い作品だとおもいました。
相変わらずの重松節
(2008-11-25)
重松さんの得意の家族の物語。
今作では父一人息子一人。
舞台は昭和30年代から昭和も終わる頃から平成の時代へ向かう頃。
何事にも不器用な父親、ヤスさんと
とんびが鷹を生んだと称されるほどの息子、アキラ。
その二人の生活を温かく見守る人々。
昭和の良き時代を見せ付ける作品だった。
帯から母親がすぐになくなってしまって
父と息子が苦労しながらやって行く話しなんだろう、と
安易に想像できるし、実際そうだった。
相変わらずの重松節。
良くも悪くも重松さんのパターン。
分かっているのにそれでも涙がほほを伝ってしまうのは何故だろう?
小説なんです。
フィクションのはずなのに
リアリティがありすぎるんです。
だからこそ、こんな家族が近くにいそうで
誰かを想像しながら
あるいは自分のことを振り返りながら
自分と重ねてしまうから。
痛いところを突いてくる重松節に今回も泣かされました。
親子二人の生活もそうですが、
その二人を温かく見守る周囲の人々の優しさ、厳しさ。
ただの同情ではなくて、本当に人を思いやる心の温かさ。
そんなものを読んでいくうちに感じることが出来た。
またしても、やられましたよ、重松さん。
父親を題材にしたノンフィクション的作品
(2008-11-25)
とんびが鷹を生んだ。そのとんびであるヤスさんが一人息子アキラを男手一つで育てる。
ヤスさんの人生を、まるで孫にあたる子供に親が言い含めるように語っているような本だった。
もちろんだからこそ、話の中核になるのは愛情で、愛おしい人を1冊の中に残した感じだ。
重松作品で同じように父と息子を描いた『流星ワゴン』と異なり、中核は父親で子どもを思う親の刹那さが所々胸をうつが、作品の描き方は『きみの友だち』と同じ描き方。
小説を愉しむというより、父親へのノンフィクション作品を読んだ印象が残る。
