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HOME > 和書 > 茶の本―英文収録 (講談社学術文庫)
茶の本―英文収録 (講談社学術文庫)
おすすめ度:
ランキング:16431
価格:¥ 882
発売日:1994-08
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ユーザーによるレビュー
タイトルに惑わされてはいけない
(2006-12-01)
「茶の本」というタイトルは、とくに若者にとって魅力的なものではない。かく言う私も高校時代に今は亡き教師から熱弁をふるわれたが、このタイトルではどうもピンと来なかったという記憶がある。
本書『茶の本』は、茶の本ではない。欧米人に日本文化を理解させるためには、まず彼らの気を惹かねばならない、そのためにとられた戦略からこのタイトルとなったと思われる。これは決して茶の本ではないのである。
本書は東洋の美意識、わけても日本の空間的美意識の奥深さを伝えて余すところがない。これは天心の同時代人である漱石の、とくに『草枕』に通ずる美意識でもある(すみません、この指摘は、ちくま新書『法隆寺の謎を解く』の終章、「日本文化の原点に向かって」のなかでで武澤秀一さんがいっていることの引用です)。
西洋化とのあいだでゆれた明治時代、これほどまでに東洋、日本の文化価値を知りぬき、そして主張した真の国際人の声に、まずは謙虚に耳を傾けたい。
改めて知る日本の精神文化
(2005-11-20)
仏教・儒教・道教が混交し、さらに日本独自の文化的環境により完成された茶道の解説を通じ、西洋文化と対比させた、日本の、そして、東洋の文化のあり方を解説した本。
いわずと知れた有名な本でありながら、自分を含め、若い世代にはあまり読まれていない本書。もともとは日本文化をよく知らない外国人向けにかかれた本書ですが、私たち現代の日本人が読んでも多くの発見があります。
茶の湯自体、花嫁修業にと少々かじる人がいる程度で、日常生活からその精神が失われて来ている現代。伝統的な美しさに対する感性が失われつつある現代の我々にとってこそ、本書を読むことは意義のあることだと思います。
外国に行き日本文化について語れない自分を発見したとき、僕は大きな危機感を感じました。多くの方が本書を読んで、素晴らしい日本の伝統を再発見されることを願っています。新渡戸稲造の「武士道」と共に是非座右に置くべき本。
儒教を知るには道教を知り、道教を知るには儒教を知らなくてはならないというのにもまた考
(2005-05-18)
岡倉天心が1906年に英文で発表した本の翻訳。西洋に”茶”を紹介する本だから、”茶”のことを知らない私の入門書として良いかと思って読んだ。
天心自身の思想と、茶の話が渾然としていて、天心も茶も知らない私としては区分けして捉えることはできなかった。それでも、固形茶、抹茶、煎茶という茶の三段階の発展やそれに対応する茶器の話、何者かを言わずにおくことで、見るものがその思想を完成する機会を与えられるという道教の思想と茶の関連などについて得るものがあった。
なにによらず、一冊の本だけに頼った知識蒐集は常に危険なことをわきまえているのであれば、茶に触れるための手がかりとしては良いように思う。それにしても、小泉八雲がラフカディオ・ハーンであるように、岡倉天心もてっきり外国人だと思い込んでいた私は不明を改めなくてはならない。
東洋文化の精神
(2005-03-29)
他人の家にお邪魔すると何気なく出される一杯の茶。本書はこの茶に東洋文化の精神を見出している。筆者はインド、欧米を旅して東洋の優秀性を見出した岡倉天心。この本が茶というものを学ぶ際に、適切な書物なのかどうか私自身判断できる能力を全くといっていいほど持っていない。しかし、本書を読むと文化史的、歴史的な視点で茶を捉えた場合には、西洋と東洋における一つの結び目となっていた事実に気づかされる。本書の表現によると「相隔たった東西の人情は茶碗の中で出会っている」。茶に関して様々な見方を提示している。なるほどと幾度も思わせられた。
文明開化の時代、岡倉は東洋文化の重要性を主張する一つの根拠として茶をあげた。重要なのは茶を通じて東洋文化の原点に立ち返ろうとする点。時代背景として本書が主張する「産業主義は世界的規模で真の風雅をたのしむことをますます困難にしつつある。今日ほど茶室の必要なときはないのではあるまいか」という主張は現在にも当てはまるのではと感じた。本書を読んだ後、文明開化の主張と東洋文化の重要性に関する主張との対立を考えるとき、そこに真の日本文化の起点が隠されているような気がしてならない。茶が東洋文化の精神を表しているという主張に納得してしまった。なんたる感動を与えてくれたことか。
最も優れた訳
(2003-09-02)
日本語の茶の本は何種類かあるが、桶谷訳が最も美しく、著者の思想の魅力を余すところなく伝えることができている。
桶谷氏の文章力もさることながら、訳者積年のテーマである明治期の日本主義・アジア主義の問題の中心に本書が位置付けられることも理由としてあげられるだろう。
茶の本を読むのであれば、まず本版からをお薦めしたい。
