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HOME > 和書 > なぜ君は絶望と闘えたのか

なぜ君は絶望と闘えたのか

なぜ君は絶望と闘えたのか
Array/ 新潮社
おすすめ度:
ランキング:67
価格:¥ 1,365
発売日:2008-07-16
通常24時間以内に発送


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なぜ君は絶望と闘えたのか

ユーザーによるレビュー

自らに置き換えて読むと・・・  (2008-08-01)

 「あぁ、あの事件を扱った本か」と書店店頭で手に取り、いつもの癖で帯に書かれた文言を目で追っていく。背側に回り、そこにあった本村氏が辞表を提出した際の上司の言葉に心打たれた。「労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。」自分が上司だったら、こんな言葉をかけられるだろうか、と思った。
 そして、プロローグに書かれた「僕は、・・・僕は絶対に殺します。」という本村氏の言葉に頷いた。そして、本書を購入することにした。
 幼子を持つ身として、自分が当事者だったら同様の気持ちを持つだろう。司法の壁の前に不本意な判決を受け、「早く被告を社会に出して、自分の手の届くところに置いて欲しい。私がこの手で殺します。」という言葉にも頷いた。
 それだけではない。泣いた。泣くために買った本ではない。読んで泣くつもりもなかった。しかし、殺害状況や公判の様子、人々の言葉や行動に度々涙した。本を読みながら、これほど泣く経験は初めてだった。それほど、憤り、絶望し、考えさせられた。
 少年法、犯罪報道、司法の現状、人権擁護、死刑制度、被害者救済、それぞれの事柄にそれぞれの考えを誰しもが持っているだろう。ひとまずはそれらを置いて、読み、考えればいい。
 読み終えての感想は、本村氏にしても孤独であれば、復讐しか考えなかっただろう。人とのつながりが、彼を支え、世の仕組みを変えていったのだ。ならばこそ、その関係を断ち切る殺人は、何事を持っても贖うことの出来ない行為なのだと、改めて思った。

人を殺すと言うこと  (2008-07-30)

とんでもない人生を歩み始めた人。と、当時のニュースを見て感じました。
一体この人の人生はどうなるのだろう。
ゴールはあるのだろうかと。
若い家族が18歳の性衝動により、一瞬にして消えてしまう。
仇討ちを許さないのが法治国家であり、体制を維持するのが法の目的だと
達観していたつもりでしたが、本村氏の躊躇しない慟哭に共感を覚えました。
本村氏のエネルギーが世論のバランスを崩し、法律を変えていきました。
しかし、この本を読んでも少年Fの狂気の根底は見えないし、死刑制度も肯定できない。
少年法もさることながら精神障害が有れば無罪になるし、戦争では英雄になる。
一気に読んでしまった本書であるが、自分の中では何ら問題が解決しない。
とても重たい読後感です。

本村さんが闘い抜けた理由  (2008-07-25)

山口県で光市母子殺害事件が起きたのは、もう九年も前のこと。それから3300日。妻と娘の魂の尊厳を取り戻すために闘い続けた、遺族の本村洋さんの記録です。
被害者と遺族を無視した冷酷な司法。年若いという理由だけで凶悪な犯罪者を保護する少年法。死刑反対の理念のためならどんな卑劣な手段でも平気で行使する「人権派」弁護士たち。その高く厚い壁とたった一人で闘い続けていたように見えた本村さん。でもそれは決して孤高の闘いではなく、ご自身と亡き妻弥生さんのご家族、正義を信じる検事、部下を思いやる上司、被害者の立場に立つ真の弁護士、そして本村さんと同じ苦痛を味わい続けた、他の犯罪被害者遺族の方々あっての闘いだったと知りました。飛行機内で本村さんにだるまのお守りを手渡して励ましたスチュワーデスの方々……幾度も自殺を考えた本村さんが生きる術を見つけ、あれほどの強さと思慮深さを得た理由を知り、目頭が熱くなりました。彼ら遺族の訴えが、彼らを支援する人々の声が、二人の総理を動かし、被害者と遺族の権利を司法界に確立させたのです。

死刑は国による殺人だから、あってはいけない。それもまた理屈でしょう。でも「加害者が更生すれば(あるいは更生を装えば)それでよし」としてしまったなら、被害者の無念は、遺族の涙と血を吐く叫びは、どこに行ってしまうのでしょう。
死刑に賛成する人も、反対する人も、どちらの立場に立てばいいか迷う人も、ぜひ読んでほしい。もうすぐ裁判員制度が始まる今だからこそ。これは法と罪と罰のみならず、人間の本質と可能性、生命の重さにまで言及された名著です。

理不尽さと闘った青年の苦悩が問いかけるものの重み……  (2008-07-23)

光市母子殺人事件。妻と子を惨殺され、残された本村さんは、9年間、
ある意味で「人の死を実現させるための闘い」を続けてきた。
その間、彼はさまざまな形で「死」と向き合う。
犯人の少年に最初司法は、死刑判決を下さなかった。しかし本村氏はそれに
敢然と立ち向かう。ときにエキセントリックとさえ思えるほどのその言動に
違和感を覚える人もいただろうし、心ないマスコミの批判にもさらされた。
しかし本村氏は、自分の気持ちに正直に、「闘った」。本書はその歴史である。
本書を読むと彼の行動がただの「仇討ち」ではなかったことがわかる。

むしろ、9年の間に木村氏は揺るがない死生観を身につけていった。
本書のすばらしさは、単に犯人の青年や弁護団を攻撃するのではなく、
絶望と苦悩の余り自殺を考えた本村氏の闘いに正面から向き合った点である。
行間からは本村氏の義憤だけでなく、悲しみや死生観がにじみ出ている。

死刑制度に対する意見は様々だ。私は必ずしも死刑賛成ではない。
「人が人を殺す」ということは、死刑という形であれ、
それはそれで重いものだと思う。
しかし、犯罪被害にあった家族が泣き寝入りし加害者が手厚く保護される国は
本当の民主主義国家とはいえない。
死刑廃止論者も、肯定派の人も読んでほしい一冊だ。

本村氏を支える人たちの心理描写も、きちんとなされており、内容にふくらみをもたせている。

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