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HOME > 和書 > シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)
Array/ 筑摩書房
おすすめ度:
ランキング:15387
価格:¥ 1,260
発売日:2002-03
通常24時間以内に発送


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シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

ユーザーによるレビュー

「超」現実主義  (2008-06-10)

20世紀の最初にして最大の芸術運動「シュルレアリスム」。
本書はそのシュルレアリスムの中心人物であるアンドレ・ブルトンの研究者における「<正しい>シュルレアリスム」講義。
講演を字に起こしたかっこうになっているため、表現がやわらかく、わかりやすい。図版とともに、丁寧な註が下段にはつ
いている。

「シュルレアル」のシュルというのは、日本人の我々にとってはお笑いなどでよく使う「シュール」という言い回しのほうが
なじみ深い。このシュールはもちろんシュルレアルからきているのだが、元来の意味は日本のそれとは異なっている。
超現実。それは現実を超えたところにある、現実と全くの「別物」、ではない。シュルレアリストたちが挑んだのはあくまで、
我々が存在する現実を描くことであり、彼らが描こうとしたのはその現実が時折見せる、まか不思議な別の一面の表象である。
別にそれは「異世界」や何かではない。

講演は「シュルレアル」「メルヘン」「ユートピア」三回に分かれていて、この三つは何も独立しているわけではなく、
筆者曰く三位一体である。加えて、そのどれも近代文学のキータームである。シュルレアリスムの段と同様に、他の二つ
の語についても、日本人特有の「勘違い」を指摘し、文学を紐解きながら「そもそものメルヘン」や「そもそものユート
ピア」が解説される。

ずっと後になってから日本でコメディアンのタモリが、ふとした瞬間に誰もが迷い込んでしまう可能性がある「奇妙な世界」
のストーリーテリングをすることとなる。
アンドレ・ブルトンらが描こうとした世界。それは、我々がなんら疑うことのない現実と地続きの、そういった「奇妙な世界」
のさきがけだったのかもしれない。

分ったような気になります。  (2008-06-01)

 シュルレアリスムとは何か、メルヘンとは何か、ユートピアとは何かの三回の講演記録。特に、シュルレアリスムの項は、おそらく、誤解しているシュルレアリスムをわかりやすく解説している。人物では、アンドレ・ブルトン、マックス・エルンスト。用語では、自動記述、オブジェ、コラージュ、デペイズマンがキーワード。また、脚注が優れていて、参考になる書籍や言葉の意味が紹介されている。
 超現実と現実は繋がっている。ここでいう超は「超える」ではなく、超スピードの超の意味にとるほうがわかりやすい。「現実」と「超現実」との間は、度合いや段階の差しかなく、連続している。「連続性」がヒント。「いつも見なれたおなじ町を歩いていて、ふだんは気がついていないんだけれども、あるときその町がちがうふうに見えてくる、なんでいうことはよくあります。(中略)道ばたをふと見ると石がおちていて、それが不思議な形をしていて、思わず拾ってきたくなる。鳥なら鳥の形をした石があって、つぎの瞬間にまた別の出来事がおこり、そこへ鳥がとんできて何か奇妙な動きをするとか、そんなようなことは案外よくあるんじゃないか。そこらへんから『超現実』を出発させたっていいわけです」(本文27P〜28P)
 なんとなくではあるが、シュルレアリスムが分かったような気にさせてくれる講演です。

シュルレアリスムに対し積極的になろう  (2007-12-27)

おもしろく、かつ読みやすい本であると思う。というもの、講義ということもあり、語り口調で穏やかに進んでいく構成をとっているからだ。そのため、あっという間によめてしまう。
シュルレアリスムとは、一般的に日本で使われているような、「変わった、風変わりな」という意味ではなく、「現実社会に潜在する、“私”を介さないオブジェとしての現実」という風に理解することができた。私たちが普段している代表的なシュルレアリスム体験はやはり、夢だろう。確かに夢は、自意識ではコントロールできないが、確かに存在し、感知することができる。
 しかし、残念なのは、夢以外にシュルレアリスムの具体的体験があまり思い出せないことだ。よって、概念ではわかっても、リアリティを伴って理解できていないところがある。やはり、意識してシュルレアリスムを見つけようとする努力は必要なのかもしれない。

本当に素晴らしい本です  (2007-04-23)

シュルレアリスムについての3つの講義を本にしたもの。


日本では「シュール」と言われることが多く、訳すと「超現実主義」になることから、日常生活から離れた全く現実的ではない別世界のようなものだと理解されているが、それは全く違うんですよ、というのが本書の主題。
日本で理解されている「シュール」の内容と、「シュルレアリスム」は全くの別物で、同じだと理解している人はその理解が180度ひっくり返るはず。

シュルレアリスムの芸術は、文学でも絵画でも、一見とても主観的のようにみえて、本当は主観的な要素はなく(絵画にはそういうものもあるみたいだけれども)、それらを作った作者・画家等にとってはどこまでも客観的でリアルなものを表現しているものだということが、しつこいぐらいわかりやすく説明されている。

シュルレアリスムと関連の深いメルヘンやユートピアについても扱っているので面白かった。
自分のような美術オンチでもわかるようになったのだから(少なくともわかったつもりにはなったのだから)本当に素晴らしい本です。

ふむふむ×10  (2006-06-29)

副題に「超現実的講義」とあるように、著者が1993年から翌年にかけて渋谷のCWS(Creative Writing School)にておこなった講義をもとにあまれた一冊。三部構成で、順にシュルレアリスム・メルヘン・ユートピアが口語調でやさしく語られ、まったくの素人でもすんなりとはいっていくことができた。
第一部では、シュルレアリスムの語義をときほぐしながら、この語にまつわる通俗的な誤解がやんわりとたしなめられる。そして、一義的には定義を定め難いシュルレアリスム運動のそもそもの根本動機について、おもにブルトンの『宣言』を参照にしながら、適宜エルンスト、ダリ、マグリット、キリコらの絵画にも触れつつ語られる。
第二部以降でとりあげられるメルヘンやユートピアは、いっけんするとシュルレアリスムとは無関係に個々に独立した主題であるかのような印象をうける。もちろんそうした位置づけで読んでもおもしろいことがたくさん書かれているし、またシュルレアリスム運動のさらなる展開や深化についてもっと積極的に触れてほしかった、との思いがわかないわけではない。けれども、たとえばメルヘンと童話や神話との違いが論じられるなかで、シュルレアリスムとの異同も浮びあがってくるというスリリングな仕掛けもじつはほどこされている。

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