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びんぼう自慢 (ちくま文庫)
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ユーザーによるレビュー
飲む・打つ・買うの三拍子が芸のこやしに
(2007-01-19)
古今亭志ん生は、明治23年生まれ。若い頃から親の言うことをきかない困った子どもで、十代半ばに、とうとう家を飛び出してしまいました。
ズボラな自分でも、バカッぱなしなら商売になるだろう、と落語家の橘家円喬に入門。長いながい貧乏生活がはじまりました。
人は生きていくために、衣・食・住をなんとかしなくてはなりません。ところが、志ん生の貧乏生活では、この三つを全部満足させるのは、ムリです。
わずかの収入を、まず食べること、次に着るものに充てていくと、住まいに向けるお金が残りません。6畳ひと間を2人借りたときも、3畳ぶんの家賃も払えないというありさま。
家賃が溜まりにたまり、新しい借家を探しては前の借家を夜逃げする繰り返しです。
この生活は、結婚しても、子どもが生まれても相変わらずです。夏は奥さんが裸同然でくらしていたとか、自分たちは食べたふりをして子どもに食べさせた、なんて話は、いくら面白おかしく話されても、やっぱり切ないですね。
だいたい、貧乏な理由の半分は、本人が飲む・打つ・買うの三拍子そろった道楽に血道をあげているからです。
「あたしは、酒は好きだが、そんなにバカ呑みするほうじゃァない。一ぺんに一升五合ものみゃァ、もう十分です」
なんていうくらいですから、お酒の失敗談は山のように書かれています。打つほうの(バクチ)話も、買うほうの(吉原の)話もたくさん回想しています。
びんぼうだ貧乏だという前に、その道楽をやめりゃいいでしょう! かたぎの人間なら、そう考えます。
ところが落語家というのは不思議なものですね。
こんな人間失格を絵に描いたような道楽者が、年齢を重ね、芸暦を重ねて落語界の重鎮となり、とうとう文化勲章まで授与されました。
明治から昭和まで、貧乏神に追われながら、それでも陽気に生き抜いた落語家の物語でした。
思わずタイトル買い・・・でも正解!
(2006-01-04)
落語に興味を持ったのはここ数ヶ月。
活字で読む落語の面白さに惹かれて、本屋で彷徨っていた時に見つけた一冊。
思わず”ジャケ買い”じゃなくて”タイトル買い”。
「貧乏はするもんじゃありません。味わうものですな。」
この言葉が頭から離れません。
かなり無茶な話が満載ですが、サラリと書いてあるところがパンク。
読んでいて、なぜか元気になれる一冊。
志ん生師匠たァ、いってェぜんてえ……
(2005-05-12)
なってったって、まず表紙のデザインがいいねェ。誰だい? 何?南伸坊だァ? さすがだねェ。 ほれぼれするね。志ん生師匠の話ってェのは、あんまりにもいろんな人が喋りすぎちゃってるから、改めて書くこたァねえんだが、むか〜し古本屋で見つけて読んだことがあるこの『びんびう自慢』が、文庫本で出てるってェんだから、ありがてえ。涙が出たね。そして本当に笑わせやがらァ。なってったって関東大震災のグラグラ揺れてる真っ只中に、かかぁの財布ひったくって、まず酒屋のオヤジに「酒ェ、売ってください」「ゼニなんぞ、ようがすから、好きなだけ、呑んでください」で、へべれけになるまで呑むくだりには、身を乗り出しちまったねェ。ここまでくりゃァ、本物だね。てェしたもんだねェ。志ん生師匠の噺をレコードでも、CDでも聴いたこたァねえ人にも、この本は値千金だと思うよ、ホントウに。ありがてえねェ……。
志ん生師匠の公式伝記!
(2005-03-07)
小島貞二さんという稀代の落語理解者による聞き取り書きである。
志ん生師匠の高座に間に合わなかった〜円生師匠には間に合ったが〜人間にとって、これが、志ん生師匠の決定版と信じ、ここに表れた表現が、師匠を示しているのだと思う。
正直に言うと、落語研究会に入ったときに、やれ三木助だの文楽だのという型にはまった落語を信奉する人が廻りに多い中で、志ん生のぞろっぺながら立川家元の言う「人間の業」の肯定の極めつけのような古今亭の落語にシフトしたときに、この本で、彼が、如何に落語が好きで「勉強」(は似合わないか?)していたかを知り、嬉しかったことを思い出す。
今、昔の落語家で面白い人がいる・・・くらいの感覚で志ん生師匠をお聞きの若い方で、もう少し・・・・と思う方はぜひとも呼んでください。「落語は理屈じゃねえよ」と師匠に怒られそうですが。
