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HOME > 和書 > ベイジン〈下〉

ベイジン〈下〉

ベイジン〈下〉
Array/ 東洋経済新報社
おすすめ度:
ランキング:5282
価格:¥ 1,680
発売日:2008-07-18
通常24時間以内に発送


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ユーザーによるレビュー

メルトダウン(炉心溶融)は防げるのか? 緊迫の最終章へ  (2008-11-02)

 2人の主人公は、それぞれ重たい過去を背負っています。

 同僚を事故で亡くすという経験もあり、原発のおそろしさが骨身にしみている日本の技術者の田嶋。
 天安門事件で拷問のはてに殺されるた兄を持ち、過激派の弟として差別を受けてきた中国共産党幹部のドン。

 上司がドンに与えた指令は、紅陽核電をオリンピック開会式に合わせて完成させること。同時に、紅陽に隣接する大連市で党要人の汚職を摘発するという、もうひとつのミッションも与えられました。

 本書に描かれる中国社会は、汚職と賄賂にまみれています。原子力発電所の建設には安全の粋を集めなければならないのに、耐震工事は手抜きする、機材の品質は守らない、書類は平気で改竄する。
 従業員も従業員で、整理整頓しないとか禁煙を守らないのはかわいいもので、禁止されているラジオを持ち込んで作業中に聞いていたり、少し監視をゆるめると、機材を盗んで持っていってしまいます。

 日本では考えられない規律の中で、田嶋とドンは協力しながら工事の障害をひとつひとつ克服していきました。


 最後のさいごに2人は対立し、原子炉を停止させよという田嶋の主張は受け入れられませんでした。

 かつて「チャイナ・シンドローム」という映画がありました。アメリカの原発の手抜き工事を告発した映画で、原子炉が暴走してメルトダウン(炉心溶融)してしまうと、地球の中心を通り越して中国まで達してしまう、というジョークが語源です。


 田嶋の不安が的中し、突然発電所のすべての電源が止まってしまう事故(ブラックアウト)が発生しました。

 自己発電装置が不完全にしか起動しない状態で、原子炉を安全に停められるのか。

「チャイナ・シンドローム」ならぬ「アメリカン・シンドローム」に至ってしまうのか……。


 最後の1行まで目が離せない小説でした。

もったいない  (2008-10-28)

またまた剛腕の作品が読めそうだと楽しみにしたのだが…。
期待が大きすぎたのかもしれない。

上巻はわくわくさせる。
あの国のやり方に辟易した人にとってはあんなもんじゃないと口を揃えるのだが、国家システムといい、民族性(あえて国民性とは言わない)といい、宇宙人との共同開発をしているような破壊的な臨場感が描けている。

あの国で原子力発電所を建設すること自体が人類の危機だというのに、オリンピックという国威発動の場に間に合わせるというその苛酷な条件や状況がこれでもかと描かれてゆく。そのあたりは圧巻である。
しかし、だからこそ、この下巻がもったいなかった。

ラストはハラハラさせる展開なのに「え、これで終わりなの?」と驚いた。
なんだかなあ、もう少しなんとかならなかったのかなあ。
最後の着地が決まらなかったような、はぐらかされ、放り出されたような気分で爽快感が味わえず、半端な気分で読み終えた。

読み直してみると、発電所建設の専門的な部分が説明的なところが気になった。
苦労されたらしいが、作家の中で十分な熟成ができないうちに書き出したような印象を受ける。レポートを読んでいるようなところが残念だった。

テーマといい、さすがの力作だけに、もう少し時間をかけて書き上げたら、もっと凄味のある作品になっていたのではないかと、ファンとしては応援をこめて星を減らしました。

映画を見ているような快適なエンタメ。  (2008-09-10)

北京五輪が終わってから読んだのですが。クチパク*竭閧ネどを先取りしたようなストーリー展開は楽しめました。ノンフィクションとフィクションと絶妙に混ぜ合わせたエンターテインメント小説としてオススメできると思います。田嶋さんと門田さんという人物設定は、まるで「プロジェクトX」を彷彿させるような良質な日本人≠?エじさせてくれます。まあ、好き嫌いはあるかもしれませんが。

腐敗と偽装がもたらす恐ろしさ  (2008-09-03)

北京五輪に合わせた原発がテーマなんて
いかにも売れ線を狙ったいやらしい本だと思っていたが、
「ハゲタカ」の著書であるからきっとおもしろいに違いないと思ったが、
想像をはるかに超えたおもしろさ、素晴らしい本だった!

読んで思ったのはこれは中国のことだけでなく、
今の日本のことではないかと。
ひとつひとつの腐敗や偽装やミスは小さくても、
それが積み重なるとどんな恐ろしい事態を招くのか・・・。
戦慄を覚える衝撃の本だった。

そしてこの本が単なる中国批判本でもなく原発批判本でもなく、
人間の生き様や社会の有り様などをテーマにした、
実に奥深い物語で、読んでいてとても興味深く読み進められた。

ハードカバーで上下巻あわせて3000円以上もするけど、
それだけの価値のある珍しい素晴らしい本でした。

ハゲタカをも凌ぐ秀作  (2008-07-26)

真山先生の作品は一通り目を通しましたが、
過去の作品をもしのぐスケールの大きな作品。
プロットの組み立てや人物描写はまさに匠の域。
ストーリーの良さも然ることながら、
一貫して伝えたい熱いメッセージが伝わってきます。
この作品に真山先生の真髄を見たような気がします。

中国社会の実情、腐敗の構図、中国国民のものの考え方、
中国相手にビジネスする方にとって有益な情報が多々あると思います。
また原子力に関する知識もつきます。

われわれが決して忘れてはいけない「希望」
命題のない混沌とした日常に、
「希望」という魂を注いでくれる
そういう作品です。

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