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HOME > 和書 > インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
Array/ 白水社
おすすめ度:
ランキング:128257
価格:¥ 893
発売日:1993-10
通常4〜6日以内に発送


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インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ユーザーによるレビュー

カルヴィーノ的な「軽さ」に満ちた傑作  (2007-09-02)

だいぶ前に初めて読んだ時は、
謎めいた暗示やイメージに満ちてはいるものの、
思わせぶりなだけでとくに何かが起こるというわけでもない、
短くて軽い小説としか思わなかったような覚えがあるが、
今回、何度目かに読み直してみて(短いからすぐに読める)、
他にも何人かのレビュアーが述べているように、
上等の酒をごく少量だけ口に含んだような、
独特の味わいがあると感じた。

この何も起こらない短い作品の中に、インドという国の
エッセンスのようなものが含まれていると感じるのは、
インドについて誰もが語る極度の貧困や不潔さと、
贅を凝らした超高級ホテル(タージ・マハルやオベロイは、
世界的に見ても五つ星だろう)の調度や料理の華やかさが、
ほとんど等価のものとして取り扱われていて、
美と醜が渾然一体となったインドという広大な迷宮を
夜の夢の中でひたすら彷徨い続けているような、
ひどく曖昧で捉え難い雰囲気が生み出されているからだろうか。
主人公が登場人物と交わす会話には、
形而上学的な話題も多く登場するためか、
どこかボルヘスの作品を思わせるような、衒学的な感触もある。

インドという「重い」対象を扱いながらも、
カルヴィーノが言うような意味での「軽さ」を、
これほどの水準で達成している本書は、紛れもない傑作だと思う。

不眠、旅、展開  (2007-08-15)

この小説のテーマは不眠と旅。章ごとに場面は変わっていく。
テンポ速く移りゆく。

旅による移動がストーリー展開と絡み合い、
テンポの速い印象を 与える。
日は沈む。太陽はこっそり昇り、いつの間にか
深夜に なっている。現実=昼に帰ろうとしても、
すぐに夜に引き戻されて しまうかのようだ。
インド-ポルトガル-イギリス-神秘主義。
そして インド。不思議な旅行記だ。
「僕」の旅日記であり、小説であり、
そして内省である。

インドに行きたいですねぇ  (2007-08-08)

隣のバングラデシュなら行ったことがあるのですが、やはりインド亜大陸とよばれるほどに
色んなスケールが大きいのでしょうね。そして深い。夜想曲とあるように夜の時間がゆっくりと流れ、伝統に集まる虫の羽音にため息が出ます。インドといってもとても広いので、冒頭にホテルのガイドがあるのは足跡をたどれるのでとても親切な行為だと思います。あー、インドに行きたい。

この世にじっさいにある迷宮  (2007-03-28)

神秘的で暗い迷宮がこの世のどこかにあって
こわいけど行ってみたい、と安全圏にいて思っている方には
この小説はとても魅惑的かもしれません。

クリアな世界と論理的ストーリーはないかもしれません。
贅沢なキャンディーをゆっくりと舌でころがすように
小説を味わいたいと思う方にはちょうどいい本です。

私は旅の途中、列車のなか、飛行機のなかでこれを読みます。
そしてじぶんの家にいても。どこでもこの本のなかの世界は一緒です。

インドの濃厚な空気  (2006-12-04)

私小説風でもあり、ミステリー風でもあるインド紀行。

主人公が訪れるボンベイ(ムンバイ)、マドラス(チェンナイ)、ゴアは、すべてヨーロッパと深いつながりのあるインドの都市。
おそらくヨーロッパ人はこれらの都市に対して、日本人にはなかなかわからない郷愁を感じるものなんだろう。

何度かインドを訪れたことのある自分にとってもっとも印象深かったのは、ある長距離バスのジャンクションのシーン。
待合室で体に障害のある占い師の兄と、その弟に出会った主人公は、自分について占ってもらう。
おそらくは周りに何もないところにぽつんとあるバスの待合室と、その中で行われる伝統的な占い。
なぜだか、そんなシーンにインドというものを強く感じてしまった。

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