スマートフォンのストレージに使われているNANDフラッシュメモリの種類として、より大容量にできる「QLC」の採用が徐々に進んでいくとして、2026年までにはiPhoneにもQLCのNANDフラッシュメモリを搭載する大容量モデルが登場するとTrendForceがプレスリリースで述べています。
iPhoneの大容量モデルにQLC NANDフラッシュメモリが搭載されるという噂は、iPhone 14 Proの頃からありました。「2TBモデルが登場する」「そのためにQLC NANDフラッシュが搭載される」という噂でしたが、蓋を開けてみると、iPhone 15になった現在でも1TBモデルが最大容量のままです。
NANDフラッシュメモリには大きく分けて4種類があり、「SLC(シングルレベルセル)」「MLC(マルチレベルセル)」「TLC(トリプルレベルセル)」「QLC(クアッドレベルセル)」に分けられています。名前の由来の通り、1つのセルに対して1ビット〜4ビットの情報を保存する仕組みで分けられていて、同じ面積に保存できるデータ容量、耐久性、書き込み速度に違いがあります。
NANDフラッシュメモリとして一般的なものが「TLC」と「QLC」で、それぞれの特長は以下のようになっています。
TLC(Triple-Level Cell)
- ビット数: 1セルに3ビットのデータを保存
- 耐久性: 書き換え可能回数は3,000~5,000回程度
- 速度: QLCよりも高速
- 価格: QLCよりも高価
- 特長: バランスがいい
⠀QLC(Quad-Level Cell)
- ビット数: 1セルに4ビットのデータを保存
- 耐久性: 書き換え可能回数は500~1,000回程度
- 速度: 読み出し速度はTLCと同等、書き込み速度は遅い
- 価格: TLCよりも安価
- 特長: 大容量向き
スマートフォンに搭載されているNANDフラッシュメモリも多くが「TLC」になりますが、大容量ストレージにするにはどうしても「QLC」にする必要があり、そうなると「書き込み速度の遅さ」と「書き換え回数の少なさ(寿命の短さ)」がデメリットになってくるので、それをどう克服するかが技術的な課題となります。
スマートフォンへのQLC NANDフラッシュの採用は、まずは一部の中国メーカーが2024年の後半から導入していく計画があるということで、2026年までに導入予定のiPhoneは少し後発となります。
- Source TrendForce