Apple Vision Proは、ディスプレイの代替として日常的に利用されるデバイスとなるでしょうか?
これについて、Mark Gurmanさんのニュースレターでは「まだまだ改善点が多くある」と指摘、Vision Proのアーリーアダプター(早期導入者)からは、以下のような不満点が出ているとのこと。
- ヘッドセットが重いので長時間の着用はできない
- バッテリーもちが悪い
- Vision Pro専用アプリが少ない
- visionOSにバグが多い
「本体が重い」や「バッテリーのもちが悪い」というのは、他社のMRヘッドセットでも課題となっている部分です。専用アプリの充実やvisionOSのバグ修正は今後に期待するとして、日常利用のデバイスになるための根本的な課題として「酔う」という問題があります。
高解像度やリフレッシュレートで軽減されるとはいえ、50万円のVision Proであっても「酔う」のは変わっていないようです。
MRヘッドセットの利用時に鬼門となるのが上下の視点移動です。
Vision ProではなくMeta Questでの使用感になりますが、左右はそんなに酔わないのですが、上下に振られると速攻で「おええ〜〜〜っ・・・」となります。遊園地でジェットコースターに乗るVR動画なんか最悪。おっさんが山林を歩くVR動画だけでも上下のわずかな揺れで酔います。
作業スペースとして椅子に座って使うだけならそこまで問題にはならないとはいえ、マルチタスクで使うと視点移動が頻繁に行われるので、次第に気分が悪くなっていくというのはあります。また、ヘッドバンドの装着による頭部の血行不良も長時間だとそれなりに影響があります。
「酔う」のと「装着感」はヘッドセットの永遠のテーマなので、Vision Proに限った話ではありませんが、この問題を解消できなければ、マルチディスプレイとしての代替や日常利用はちょっと厳しいかなという感じがします。
Appleの計画通りに進まなかったデバイスとして、Mark Gurmanさんはニュースレター上でiPadを挙げています。
「Appleは、iPadをMacの代替品として位置づけようとしてきたが、現在のiPadは本来の目的を失い分かりにくいものになってしまった」
これについては多くの人が同じ意見でしょう。 iPad ProやiPad Airには、Macと同じMシリーズのチップが搭載されていますが、OSがiPadOSであることからMacの代替にはなれません。直感的なタッチ操作は子供などにはいいのですが、文字入力に関しては使いにくく、物理キーボードを使うのならスマートに展開できるMacBookの方が良いという状況があり、簡単な作業においてもMacの代替デバイスにはなりえませんでした。
一方で、iPad Proはお絵かきツールとして高く評価されている一面があります。
Vision Proも独創性あふれる用途が見つかれば、それに特化したデバイスとして確立できる可能性は十分あるでしょう。例えば、ジェスチャーを活かして3Dモデリングを粘土をこねるようにして形成するとか。AIである程度の形と大きさを指定して生成した3Dモデリングの仕上げをジェスチャーでやるとか。
Vision Proはまだプロトタイプ
現行モデルのVision Proは未完成なプロトタイプですが、今後のモデルチェンジで問題点が解消されていけば、最終的にはタブレットと同じ位置づけのデバイスに落ち着く可能性があります。Mark Gurmanの予想では、そうなるまでに4世代ほどかかるとみています。
2年おきにモデルチェンジするとして、8年後の2032年あたりには、意識高い系のやつがスタバでVision Proを装着して空間ジェスチャーしてドヤっているという光景がそう珍しくないという日が来るかもしれません。
こんな未来が?
- Source MacRumors