日本時間で6月7日の午前2時から開催されるWWDC 2022は、Appleの開発者向けイベントとなっていて、注目されている基調講演では、この秋に正式リリースされる予定の最新ソフトウェア「iOS 16」「iPadOS 16」「macOS 13」「watchOS 9」の新機能が初お披露目されることになります。
それとは別に、Appleが開発中のVRヘッドセット向けのソフトウェア「rOS」が発表されるのではないかという噂が一部で出回っています。
確かに可能性としてはありそうですが、アナリストのMing-Chi Kuoさんはこの噂について否定的で、AppleのVRヘッドセットはiPhoneと同じくらいAppleにとって重要な製品なので、iPhoneのような独自イベントで発表される可能性がある。そして、その時期についてはまだまだ先になるということです。
rOSはWWDC 2022で発表されない?
rOSがWWDC 2022で発表されない根拠としては、AppleのVRヘッドセットがまだ量産に入っていないことから、登場は2023年になるのは確実で、それまでに「rOS」を発表するということは、競合他社に機能を明らかにしてしまうことになり、AppleのVRヘッドセットが登場する前に機能を模倣される可能性が高いので、Appleにとってはこのタイミングで「rOS」を発表するメリットは一切無いと考えているようです。
Another reason. Suppose AR/MR headset is Apple's most important product since iPhone launch. In that case, AR/MR headset & rOS deserves an independent media event that can ensure enough time for a complete introduction and keep the audience focused throughout the event. https://t.co/v5zpBYPPvf
— 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) (@mingchikuo) June 2, 2022
ちょっと話が逸れますが、これまでAppleのこの新製品は「VRヘッドセット」「VR / ARヘッドセット」と表記されていましたが、今回のMing-Chi Kuoさんのツイートでは「AR / MRヘッドセット」と表記されているのがちょっと気になりました。
実は結構違う、VRとARとMR
どう違うのか?というと、VRヘッドセットは仮想現実(Virtual Reality)の事で、ARヘッドセットは拡張現実(Augmented Reality)の事。そして、MRヘッドセットは複合現実(Mixed Reality)の事を指しています。
VRは完全に仮想現実を投影するものですが、MRは現実世界の映像に3Dオブジェクトを配置するというもので、ARと似ていますが、ARは現実世界を2Dとしてしか認識していないのに対して、MRでは現実世界も3Dとして認識することができるので、3Dオブジェクトをよりリアルに体験できるという違いがあります。
ARでは、3Dモデリングされたキャラクターが現実世界を背景にして浮いているだけなのに対して、MRはちゃんとその場に存在しているかのように扱えるというわけです。
iPad ProのLiDARスキャナを使ったARは、MRにかなり近い機能だと言えます。
例えば、LiDARスキャナで取り込んだオブジェクトをMRヘッドセットで体験するという使い方も、ヘッドセットなら没入感が一気に増すので、3Dモデリング次第では、なかなか面白い体験ができそうですよね。
ちなみに、Appleが最初に発売するこのヘッドセットは、かなり高額になると言われていて、個人向けではなく産業用のデバイスとして企業向けに販売されるという話があります。MRヘッドセットの用途としては、確かに個人では活かしきれない感じがしますね。