(image: Brandon Geekabit)
2月3日に発売されるM2チップ搭載Mac miniとM2 Proチップ搭載MacBook Proは、ストレージのファイル転送速度がM1チップ搭載モデルよりも遅くなっているという結果が明らかになりました。
ストレージ速度のベンチマークスコアが落ちたといっても、全体的なパフォーマンスがM1チップ搭載モデルより劣っているというわけではありませんが、ちょっと気になるポイントですね。
Disk Speed Testを用いてMacBook Proのストレージ速度を計測した9to5Macの記事によると、M2 Proチップ搭載MacBook Proは、M1 Proチップ搭載MacBook Proよりもファイル書き込み速度が20%減、読み込み速度は39%減と遅くなっています。
M1 Pro MacBook Pro(512GB)
- ファイル書き込み:3950
- ファイル読み込み:4900
M2 Pro MacBook Pro(512GB)
- ファイル書き込み:3154(20%↓)
- ファイル読み込み:2973(39%↓)
また、M2チップ搭載Mac mini(256GB)のDisk Speed Testの結果も同様に、M1チップ搭載モデルより30%〜50%遅くなっています。M2 Proチップ搭載Mac miniは512GBストレージなので、M2 Proチップ搭載MacBook Proと同等のストレージ速度だと考えられます。
Disk Speed Testのベンチマークにはゆらぎがあるので、タイミングによりスコアは微妙に変動しますが、ここまでスコアに差があるのはハードウェアの変更による影響だとみられます。
ストレージの速度がM1チップ搭載モデルよりも遅くなっているというのは、M2チップ搭載MacBook Airでも指摘されていて、原因としてNANDフラッシュの仕様変更があります。
M1チップ搭載モデルでは、128GBのNANDフラッシュチップが搭載されていました。
例えば、128GBでは1つ、256GBは2つ、512GBは4つという具合にチップの枚数が増えていきましたが、M2チップ搭載モデルでは、NANDフラッシュがシュリンクされてNANDフラッシュチップが1つだけ搭載されるようになりました。
M2チップ搭載モデルには256GBのNANDフラッシュチップが1つ、M2 Proチップ搭載モデルには512GBのNANDフラッシュチップが1つ搭載されています。
- M1 Mac:128GB NANDフラッシュチップ
- M2 Mac:256GB NANDフラッシュチップ
- M2 Pro:512GB NANDフラッシュチップ
この結果、複数のNANDフラッシュメモリで並列処理ができなくなった為にベンチマークスコアが落ちたと考えられます。複数のNANDフラッシュメモリで並列処理させた場合、処理速度は上がりますが、その分、消費電力もアップするので用途や考え方次第では評価が分かれるところです。
では、実用した時のパフォーマンスはどうでしょうか?
全体的なパフォーマンスにはSoCの処理速度やRAMの速度も影響するので、ストレージの速度だけで甲乙付けることはできません。しかし、M1チップとM2チップのメモリ帯域幅は同じ(100GBs)ですし、M1 ProとM2 Proのメモリ帯域幅も同じ(200GBs)です。M1とM2はどちらも5nmプロセス、M1からM2になってSoCのコア数は増えていますが、そこまで大きな違いはありません。
そうなると、やっぱりストレージの速度はちょっと気になるかなという感じですね。
今回のモデルでストレージを並列処理させるには、吊るしのモデルではなく、CTOでストレージをアップグレードすればいいということになります。
ちょっと難しいのがM2チップ搭載Mac mini。吊るしが256GBですが、M2 Proモデルに搭載されている吊るしが512GBなので、それと同じNANDフラッシュチップが搭載される可能性もあるので、一概にCTOすれば安心というわけではありません。そのへんは、人柱報告待ちか博打ということになります。
確かに「最新モデルなのに2年前のモデルより遅くなっている」という事実はセンセーショナルではありますが、遅くなったといっても十分過ぎるほど速いので、ベンチマークオタクでもない限りは体感できるほどの差は無いと思いますが。
- Source 9to5mac
- Source MacRumors