Adobeは、自社のジェネレーティブAI「Firefly」の一部機能をPhotoshopに追加することを発表しました。フォトレタッチアプリの頂点であるPhotoshopが、本格的に画像生成AIを実装することになります。
今回、Photoshopの新機能として組み込まれたFireflyの機能は、「ジェネレーティブフィル」として塗りつぶし機能が使えます。塗りつぶしという名称ですが、写真にオブジェクトを生成して書き加えるという機能になります。
この機能は、すでにPhotoshopのベータ版で実装されており、2023年後半に正式版に実装される予定です。
上の画像はサンプルですが、よく見ると「あー、これAIで生成したな」というのが分かります。
車に変な触覚が生えていたり、窓が曲がっていたり、細かい部分の表現がAI特有のそれなので見分けができます。
Adobeの画像生成AIとしての「Firefly」は、Adobe Stock画像やオープンライセンスのコンテンツ、パブリックドメインコンテンツを含む独自のデータセットでトレーニングされており、生成した画像は商用利用できることが特長です。例えば、自分で撮影した写真にFireflyを使ってオブジェクトを書き加えて、それをデジタルコンテンツに組み込んだり画像データを販売することができます。
しかし、Photoshopのジェネレーティブフィルはベータ版では商用利用することはできません。また、英語のみのテキストプロンプトで動作、18 歳未満のユーザーの利用、中国からの利用が制限されています。
この他、Photoshopのアップデートでは、AIを使ってオブジェクトを削除できる「削除ツール」も追加されています。
オブジェクトを削除する機能はフォトレタッチアプリではデフォで実装されていますが、このAIを使った機能では背景部分をAIで生成してかなり綺麗に削除することができます。しかも、オブジェクトをなぞるだけというお手軽さです。ただし、削除ツールはローカルでAIを使うので処理能力が必要となります。Macにおけるハードウェア要件では、M1 Proまたは同等のIntel CPUとなっています。
それでもPhotoshopは高い?
macOS向けのフォトレタッチアプリといえば、Affinity Photoを使っているユーザーが多いと思いますが、AIを使った機能の実装に関しては特にアナウンスされておらず、仮に、AIを使った選択機能や削除機能を実装してきたとしても、メジャーアップデートで別アプリとして再購入しなければならないパターンになる可能性が高いので、あまり期待はできません。ライセンスの価格に関しても、いつのまにか1万円を超えている(円安の影響もあるけど)ので、今後、本格的なフォトレタッチアプリを導入するなら、AIを本格的に導入する姿勢を示しているPhotoshopに回帰するという選択肢も十分あり。
Photoshopを使うには、Adobe CCのフォトプランのサブスクリプションを購入しますが、価格はコンプリートプランと比べてお手頃です。
- フォトプラン(20GB):1,078 円/月
- フォトプラン(1TB):2,178 円/月
フォトプランは、Photoshopデスクトップ版、Lightroom、Photoshop iPad版、Lightroomモバイル版、クラウドフォトストレージなどが使えるプラン。クラウドストレージも付帯するので、それを考えるとお得かな?
個人的には、AIを使った背景切り抜き・背景透過は、以前ご紹介したPhotoRoomのWebツールが良すぎるので、Affinity PhotoとPhotoRoom(無料)でしばらくは様子見しつつ、PhotoshopのAI機能が充実してきたら、そちらに鞍替えするかもしれません。
- Source Adobe Blog